さて。今日は重大な告白が皆さんにあります。かつて失顔症をカミングアウトした時以来の緊張感があります。
何かと言うと…実は最近の僕は本を全く読んでなかったという話です。
本が読めない苦しみ
いや、そんなの珍しくもなんともないやんと思うかもしれないけど、これは僕にとってはかなりの苦悩だった。
僕の名前は「文洋」と言いますが、この名前にはお父さんが「海(太平洋)のように広く、文学を学んでほしい」という思いで名付けてくれたと聞いています。
素直すぎて純粋で無垢な僕は、子供の頃にその話を聞いて「なるほど。僕は本を読まないといけないんだな」と思い、ずっと本を読んで育ってきました。
どのくらい読んでたかというと、2011年くらいまでは1日に必ず1冊は読んでました。多い時は3冊くらい。ところが2012年頃からぱたりと読めなくなるのです…その理由がわかりますか?
そう、それが…
睡眠時無呼吸症候群
なんです。病魔が容赦なく僕を襲った。ただ、この頃の僕はこの病気を認知してなかった。
睡眠時無呼吸症候群の恐怖
睡眠時無呼吸症候群。それは、子供の頃に自分の名前の意味を知り、純粋に信じて日々本を読んできた僕が抗えないほどの苦しみでした。
ちなみに、僕の純粋エピソードには「お父さんが僕が生まれる時にタバコを苦労してやめてくれた」という話を聞いて「なるほど、じゃあ僕がタバコ吸ったら意味ないな。絶対に吸わないでおこう」と、どんな悪友とつるんでる時もタバコだけは頑なに断り続けたのもいい話で、皆さんは知っておくべきだと思います。
意図的に話が逸れましたが、それほどまでに純粋な僕でも抗えなかったということを伝えたかったんです。おそろしい。つまり、最近本が読めてなかったんです。読んでるといつのまにか寝落ちするんです。そのため一冊を読み終えるのに時間がかかる。さらには、途中で話が途絶えてしまうから記憶にも定着しない。全然読書できない!僕はもう人生終わったな、と思ってました。
イメージと誤解
ところがですよ、それまでの人生で読み貯めてた経験があるため、話の端々に「オレ、めっちゃ本を読んむだぜ?」感を出してしまうというか、醸し出してしまうというか…どうにもみんなからは「あいつは本を読んでいる」というイメージで見られてしまう。
こうなると引っ込みがつかない。カッコつけてしまう僕は本を買います。そして積みます。今まで「意味がわからない」と思っていた、いわゆる「積ん読」をしてしまってるのです。読んでない本がたくさんある。恥ずかしい!
違うんです。読みたいんです。読みたい本がたくさんある…けど、読み始めると寝てしまうんです。一冊を読み終えるスピードが遅い…これだと全然追いつかない。そんな状況がここ数年続いてました。
失われるアイデンティティ
振り返ってみれば、この「本を読むと寝落ちする」は、睡眠時無呼吸症候群の症状そのもの。だけど、そんな病名を聞いたことはあってもまさか自分がそうだとは思ってなかった僕は「自分は本に興味がなくなったんだ」と落ち込みます。アイデンティティを失ったレベルで落ち込みました。
友人の楠さんは「わいざんの文章はおもしろい。それは本を読んできた量が違うからだ」と言います。
そう言われるたびに…僕は心の中で「違うんだ、もう読めてないんだ。下手すると1ヶ月に1冊くらいしか読めてない」と、心の中で悲痛な叫びをあげてました。
事実を言うことの恐怖
しかし、これを正直に言うと楠さんがあの恐ろしい目で、さぞかし幻滅した表情で僕を見るんだろうな、と思うと言えませんでした。
※楠さんは何一つ悪くありません
今はまだ、昔から読んできたストックでなんとか「読書好き風」を装えてるけど、いつかその貯金は尽きるだろう。そうなると、僕も終わりだな…と落ち込む日々でした。
これが白日の元に晒されると罵られるんだろうな。でも、自分で撒いたタネだ。受け入れるしかない。僕は半ば絶望的にこの状況を受け入れようと覚悟を決め始めていました。
ある光
ところが、とあることからこの状況に光がさし始めるのです。そう、睡眠時無呼吸症候群を自覚する時がやってきたのです。
昨年、ワーゲンバスで日本一周という企画を先ほどの恐ろしい目をした楠さんとやりました。その旅の道中のテント泊で、寝ている時の僕の呼吸が止まっていると楠さんがいうのです。あの恐ろしい目で、鋭く。
「わいざん、寝てる時呼吸止まってません?」
「え、止まってませんよ?」
「いや、間違いなく止まってますよ。無呼吸症候群じゃないですか?」
「え、まじすか?」
「病院行った方がいいんじゃないですか?」
僕は否定しながらも、こっそり睡眠時無呼吸症候群について調べました。すると、そこにはこう書いてあったのです。
本を読んでると寝落ちしてしまう
こ、これは…もしかすると、これは病気のせいなのか?
病院、そしてCPAP
僕は日本一周から帰宅後、すぐに病院に行きました。それから何やかんやあって、病院も変わってすばらしい先生に出会い、重度の無呼吸症候群だという結果が出たのです。
そして。
先日CPAPが届きました。CPAPとは、睡眠時に無呼吸になった時に、酸素を送り込んで気道を確保してくれる機器です。これがあれば無呼吸は防げるらしい…
機器の説明をしてくれた担当者は「こんなもの付けて寝るなんてさぞかし嫌でしょう。ごめんなさいね。僕も使ってるんですけど、よく外してしまうし、たまには付けずに寝ることもあるんですよ…」と、悪びれた感じで説明してくれたけど、僕はそんなことより早く試してみたかった。
鼻につけるマスクは男塾の卍丸みたいでむしろカッコいいではないか。
CPAPと卍丸。(順不同)
むしろ卍丸は無呼吸症候群でCPAPをしてたのかもしれないとさえ思えてくる。そんなことをボンヤリと思いながら説明を聞いてると、さぞかし不安そうに見えたのかさらに説明が丁寧になっていく。もうわかった、わかったから早く試させてくれよ。
CPAP、試す
説明も終わり、無事に受け取って早速CPAPを試す。無論、まだお昼だ。つまり昼寝をするしかない。僕は昼寝をしてみた。1時間くらい寝た。
その時の様子を楠さんに聞いてみると…
「呼吸、止まってませんでしたよ」
それから今日で3日目。めちゃくちゃ快適です。日中の眠気が全くない。本も読める。スラスラ読める。感動しかない。CPAP、ありがとう。
僕は2011年頃から太り始めた。おそらくその頃に睡眠時無呼吸症候群になったのだろう。太り始めた時期と、本を読めなくなった時期が合致する。
みんなも僕と同じように日中に急な眠気を感じるようになったら、一度無呼吸の診断をオススメしたい。そして無呼吸と上手に付き合っていこう。
最後に無呼吸症候群と聞くと、ちょっと重たい感じがするが、真ん中に「と」を入れてみるといい。
無呼吸と症候群
まるでミスチルの重力と呼吸のような響きではないか。
Tシャツにしてもカッコいい。お求めの方はぜひわいざんまでご連絡ください。
無呼吸をオシャレに着こなそう。今日から無呼吸は友達だ。