島根県出雲市にある日本海に夕陽が美しい町、多伎町。海のきれいなこの町で、Instagramを使った町おこしの取り組みがありました。僕はコンサルとして約1年間サポートさせていただきました。
こんにちは。ワイザンを講師に迎えて多伎スタグラム(町の地域おこしプロジェクト)のミーティングです。
様々なアイデアが、あがって活発な話し合いになっています。盛り上がってまいりました。#多伎スタグラム#多伎町 pic.twitter.com/fkPTjG7DOn— 石飛硯一郎|出雲はたご小田温泉 (@kumataro_onsen) 2018年4月12日
Instagramによるフォトコンテスト。2017年の年末に相談があり、打ち合わせを重ねて2018年の4月1日から運用スタート。運営チームは決してSNSに慣れているとはいえない3人。完全に見切り発車で始めた企画でした。指定のハッシュタグ #多伎スタグラム をつけてInstagramに投稿すると、運営チームが素敵な写真をフィーチャーするという企画。
正直、Instagramを使った地域の発信なんて山ほどある中で、低予算で知識もない…成功する見込みはかなり薄い勝負だったと思います。そんな企画に最終的には1,218件もの投稿がありました。
アカウントを運用してみたはいいものの…投稿作品がほとんどなくひっそりと終わっていった…なんて事例はザラにありますからね。これは3人がかなりがんばった結果だと思います。
最終日には、地域の図書館を借りて写真展と表彰式。飲食ブースの出店なども地域の方が協力してくれ、想像以上に大盛況でした。多伎スタフェスタと名付けられたこのイベントは、多くの人が来場し賑わいました。地域の人も「やってくれてよかった」「楽しかった」と本当に喜びをあらわにしてくれてました。
成功の要因はひと言では語れないのですが、この記事ではひとつだけ紹介したいと思います。販促予算がない中で、どうやってアカウントの認知を広げたかという話です。
目次
Instagramフォトコンテストを開催にあたっての課題
地元のデザイナーさんと一緒に、 #わいざんプロデュース #ぽこみちカメラマン のチラシを作成・・一時間の話が、5時間かかった(-_-;)
まだ完成ではないです。また、かなり変わります。
これより田舎臭くなります(笑)#多伎スタグラム pic.twitter.com/dirLYLnvEs— なぎら のぶひろ―多伎スタ写真展 (@psnagira) 2018年5月7日
多伎スタグラムの相談があった時、ひと通り状況などヒアリングした後にひとつの懸念事項がありました。それは、販促予算がほとんどないということ。コストをかけず、どうやってこの企画の認知を広めようか…というものでした。
ただ、これは中途半端に予算があったとしても実は同じことです。予定調和的にSNS広告とかをやったとしても、これだけ情報が多い世の中、伝える事はかなり難しい。世の中のほとんどの人が一度見たフォトコンテストなど忘れて消えていくでしょう。これは自虐とかでなく、どんなことでも同じと受け入れないといけない時代の宿命。今の時代はそういう状況にあるのです。
そこである考えが浮かびました。ただ、考えたものの…理解してもらえないだろうなって気もしてました。町おこしとなると行政も絡む…前例がないものは通りにくいですからね。
まぁ、伝わらなかったらそれはそれで仕方ないか…くらいの気持ちで提案しました。それが『海をテーマにしたフォトコンテストを開催する』ということです。
海が自慢の多伎町だからこそ海をテーマにしたフォトコンテストを開催
僕の考えた案がこちら。
『海をテーマにしたフォトコンテストを夏に開催する』
今、これを読んでる人は「え、普通じゃない?」って思うかもしれませんが違います。僕が言ってるのは、多伎町の海に限らず、全国どこの海でも対象にしたフォトコンテストをするということです。そして、コンテストの商品は多伎スタグラム運営が提供するということです。
他の地域のPRになることに、多伎スタグラムの運営チームが労力とお金のコストをかぶるということです。普通やりませんよね、こんなこと。理解してもらえないかなぁと思うのもある意味当然ではないでしょうか。
他地域含めた海フォトコンテスト開催の意図
ただ、僕も冗談でこんなことを言っているわけではありません。多伎町だけで海に関するフォトコンテストを開催して、盛り上がればいいです。でもそれは難しいでしょう。地域を限定してフォトコンテストをやるということがどういうことか…大規模な販促プロモーションが出来ない以上、身内だけでこじんまりと終わるだろうなってことが予想されます。
地域を絞ったフォトコンテストは想像以上に難しい。だってそこに行って写真を撮らないと参加できませんからね。限られた予算で作ったポスターやビラの効果は地域にしか届かない。地域の人だけでInstagramに投稿してても、立ち上げたばかりでフォロワーもいない多伎スタグラムのアカウントでは広げるのが難しいということです。
なので、立ち上げの初年度は特に『アカウントを知ってもらう』ということが重要になってきます。知ってもらうといっても、興味のないところに無理やり露出しても意味がありません。広告はもはや通用しないという理由はここにあります。知名度もフォロワーもいない新しいアカウントです。広告で見せるだけだと意味ないでしょう。
だから、僕はアカウントを知ってもらう方法として、他地域を含めたフォトコンテストをするのがいいのではないかと思った。
海が自慢の多伎町だからできること
多伎町は海がすごく綺麗です。楽天にいた頃からこの地域を担当してるのですが…日本海に沈む夕陽は本当に綺麗です。目を奪われる。そんな海に恵まれた多伎町だからこそ…自分たちのところだけでなく、全国の綺麗な海を対象としたフォトコンテストをやりますよ、いい写真があったら投稿してくださいね!というスタンスを取る。
すると、海の写真が好きな人は喜びますよね。投稿する人も、見る人も喜びます。海の写真であれば場所を問わず投稿できるので、夏の間に注目を集めることができるでしょう。
注目が集まったら、次にユーザーはどんな行動をとるか?「海好きにはたまらないフォトコンテストを開催してるのは一体どんなアカウントなんだろう?」と気になるでしょう。こちらから何も言わずとも気になる。そこで初めて「ああ、この海フォトコンテストは多伎町ってところが運営してくれてるんだな。海が素敵な町だから、こんなことができるんだな」ということが伝わって、多伎スタグラムのアカウントを海が好きな人が応援してくれるようになる。そういう意図です。これは、海が自慢の多伎町だからできることです。
二ヶ月間で800件の投稿
そして始まった全国の海の写真を対象にした海フォトコンテストは二ヶ月で800件もの投稿がありました。そしてこれが、多伎スタグラムが全国の写真や海が好きな人に知られた瞬間だったと思います。並行して、多伎町の写真を対象としたフォトコンテストも開催してます。海をきっかけにアカウントを知った人が、多伎町の写真も見てくれるということになるわけです。
自分たちが自分たちのところを「いい」というのはSNS時代では簡単です。大事なのは他者から言ってもらうこと。話題になること。ここを目指すのが大事です。
その為にはどうすればいいか?それは、他者のいいところを見つけて先に話題にするということです。他地域も対象にしたフォトコンテストをするというのはそういうことです。これが僕が考えた販促費をかけない多伎スタグラムの認知度アップ方法ですね。
アイディアだけでは無意味。実行することに価値がある
僕のロジックは、言葉にすると「なるほど、一理ある」と思えるかもしれませんが、考えることと実際に行動するとでは天と地ほど差があります。しかもお役所仕事です。「なんで他の地域のことに商品代をうちが出さないといけないの?」なんてド正論が返ってくるのは簡単に予想できますよね。
でも、この3人は僕の提案した通りにやり切ってくれました。こんなアフロのよくわからないコンサルの意見を信じてくれて1年間やり切ってくれました。
多伎スタフェスタでは、このInstagramでの取り組みをテーマとしてSNSについて話をさせてもらいました。主役はもちろん実行してくれた3人。僕はフォローに入っただけです。1年間試行錯誤しながらやってきたことを話してもらいました。会場で聞いてくれたお客さんも「SNSやブログについて知ることができた」と好評だったようです。そりゃそうですよね、机上の空論でなく、1年間実際にやってきたこと、それもほぼド素人がやってきたことを話してるわけですから。
僕がこの多伎スタグラムの企画をコンサルするにあたって武器にしたのは、お金でも権威でもなく3人の人柄です。ポスターもオシャレだけどどこの誰がやってるのかわからないようなものにするのではなく、3人が全面に出て「慣れない3人が全力でがんばってます!」感を出していきましょうと。言うのは簡単だけど、よく実行してくれたと思います。
優秀作品はこのようにプリントアウトして展示もしました。これは3人のアイディアです。実際に展示されると嬉しいですよね。この日も多くの人が見てくれてました。インターネットだけでなく、リアルも大事にしようという想いが伝わっているのだと思います。
毎月、選ばれた写真の撮影者に、商品の発送の連絡をしていたのですが、どの人もすごくいい人で受賞を本当に喜んでくれたそうです。それもそのはずです。インターネットは鏡みたいなものですから。3人が慣れないながらも、1年間精一杯やってきたことは絶対に伝わってると思います。
発信しなければ存在しないのと同じ
始まる前は、Instagramで多伎町を検索してもほとんど写真は出てきませんでした。Instagramが注目を浴びて、ユーザーが目的地をInstagramから探すようになっているというのに、そこに存在しなければ多伎町はどんなにすばらしい場所だったとしても選択肢に入ってきません。
それが、今では多伎スタグラムのアカウントを中心に多数の写真がInstagramに投稿されるようになっている。これはすごいことだと思いませんか?
今回は地域おこしでの事例でしたが、これはどんなビジネスにも言えることです。SNSが注目を集めている今、Instagramで話題になっていなければ、そこでは存在しないのと同じです。
その為にはどういうアプローチをすればいいのか?それを考えるのが僕の仕事であり、やるのは当事者のみなさんです。SNSの発信は当たり障りのない代行運営だともはや伝わりません。自走することが必要です。せっかく自由に情報発信できるのだから、自分たちの魅力は自分たちで伝える努力をしましょう。自走する力が欲しい人はお気軽にお問合せくださいね。
わいざんとぽこみちさんが多伎スタフェスタの応援に駆けつけてくれました。わいざんと多伎スタメガネトリオのトークショー後にフォトコンテスト作品展示会場でぼくだけが記念撮影!これは宝物になるぜ!(のぶさん硯さん抜け駆けごめん!)#わいざんオンラインサロン#多伎スタグラム#多伎スタフェスタ pic.twitter.com/puA81twuZD
— マサーシー│田んぼで金魚(山田真嗣) (@tanbodekingyo) 2019年2月12日
そうそう。多伎スタグラム実行チームのひとり。金魚メガネこと山田さんは日々SNSを勉強するために僕のオンラインサロンにも入ってくれてました。このやる気が本当に嬉しいねぇ。
オンラインサロンにて自走するSNSの考え方を配信中!
わいざんオンラインサロン
というわけで僕の考え方に興味がある人はまずオンラインサロンへどうぞ。お待ちしております!
↑一番初めに多伎町でセミナーやった時に書いた記事も参考にどうぞ。