僕がさくらももこ先生を好きな理由のひとつに、作品の中に「忘れないよ」って想いが込められてるというのがある。
いつか遠いところで
特にちびまる子ちゃん5巻の「いつか遠いところで」のこのシーンが好き。
これは、さくらももこ先生が短大2年の時の話。
漫画家デビューして1年たった頃で、まだ実家で学生をしながら家庭教師のバイトをしていた時のエピソード。
来春には就職(漫画家と兼業)で東京に行ってしまうことが決まってる中で、教え子の小学生と話してる時のシーン。
2018年の8月、さくらももこ先生の突然の訃報を知った僕が1番に思い出したのはこのシーンだった。
「忘れないよ(ほんとだよ)」
この気持ちを大切にしてるから、あんな作品が書けるんだと思う。
こんな風に、さくらももこ作品には「忘れないよ」というシーンが実はたくさん出てくる。
まるちゃん南の島へ行く
有名な「まるちゃん南の島に行く」の中に出てくるプサディ。
お別れのシーンの「マるこ、ワスレ、ナイで。」という手紙だったり。
キミを忘れないよ(イタリアから来た少年)
映画「イタリアから来た少年」の原作「キミを忘れないよ」のアンドレアとの別れのシーンだったり。
わたしの好きな歌
超名作である映画「わたしの好きな歌」のラストシーン。
まるちゃんもお姉さんも同じように思ってる。
こんな風にさくらももこ作品の中にはたくさんの「忘れないよ」が出てくる。
作品のテーマは「忘れない」だと僕は思ってるくらいに。
さくらももこ先生の文集
これはさくらももこ先生が小学生の時に書いた文集なんだけど、ここに全てが詰まってる。
今、やさしい目で見守ってくれた、六年生のお兄さん、お姉さんたちがどこにいるのかもわからないけれど、わたしはお兄さん、お姉さんの気持ちをわすれられません。
これを読んだ時、僕はさくらももこ先生が何を大事にしてたかわかったような気がした。
ちびまる子ちゃんは宿題やお母さんから頼まれた用事を忘れてよく怒られる。
あんたって子は、なんでそんなにうっかりしてるの!と怒られるシーンが印象的かもしれないけど、大切なことは何ひとつ忘れてない。
だから僕はさくらももこ先生のことを絶対に忘れることはないし、みんなも大切な人のことは忘れないでいてあげてほしい。
悲しみをインスタントに消費しないでほしい。
それが故人への1番の餞だと思う。